
20260209
なんとなくすぐに電車に乗る気になれなくて面倒だなと思ってたのに少し遠い駅まで歩くことにした。
昨日の雪がちらほら溶け残っている。
今日も寒い。
今まで通ったことのない道を選び歩くと想像と違うところに出た。
妙に見覚えがあるなと思ったら随分前、文化服装学院に通っていた時に住んでいたあたりだった。
何度も写真を撮り歩き、ただ生活の為に歩いたあの道だった。
住んでいたアパート?というか熱海荘という名の木造住居は壊されマンションになったということはなんとなく知っていた。
見たところでとは思ったものの前まで行ったみた。
熱海荘はやたら友人の出入りが激しいある時期のコミューンのような場所だった。
風呂もなく共同トイレだったが今の自分の基盤の幾らかはここで作られた。
ただ楽しいということを一方的に享受でき、自分の人生に悪いことなど起こるはずがないというような信じられない楽観さで生きていられた頃。
世間知らずで無知でれっきと若かった。
建物の隣は一軒家で、2階には高齢男性が住んでいた。
一階の自分とはよく目が合った。
いつも見られてるようで居心地のいいものではなかったが、なんとなくの共犯関係というか、見る見られるということを通しての関係があったように思う。
遠目から見てもマンションは大きく、熱海荘の面影はどこにもなかった。
隣の一軒家も新しい家族の形に合わせてか新しくなっていたが、この家のおかげでなんとなく当時を思い出せた。
気がした。
すぐそこのジンギスカンの店は古くなった様子もなく、明るくとても感じがよいままだった。
丁寧に開店の準備をしている横をすり抜け、駅まで歩いた。
感傷に浸るとかもなく、ただ当時のことを思い出して時間が経ったことを認識する。
あの時のように無邪気に全てを肯定的に受け入れはしゃいだりは出来なくなった。
生きていくことは切実さの連続だが、当時の楽しさもまた切実さそのものだったと思う。
環境も価値観も生きていれば変わる。
変わってほしくないことも変わってしまう。
自分の切実さは勿論手放せないが、それも社会や他者を抜きに成立するものではないだろう。
切実であることに誠実に生きていくためにも様々なことは放棄出来なはずもなく、娘のこれからのことを思い電車に乗った。

20241222
10年経って使い物にならなくなったパスポートを新しく申請して受け取りに。
ようやく冬らしい気温になって1枚多く着込んで出掛ける。
海獣のいる海という番組を見た。
濃厚で重めの色、あからさまに多いフィックスされた画面、田中泯さんのナレーションも、出演者の台詞も、音楽も僅かで、環境音がほとんどを占めていた。
見てすぐにこの映像を撮ってるいる人は誰だろう、と、そのことばかりが気になった。
写真を撮っている人間が撮りそうな画面構成。
むやみにフレームを動かすことなく、なるべく客観的であろうとする、黒子であることに徹している、というように見えた。
映像は次の動きを予測してそれに合わせてカメラを動かし画面構成をする。
が、自分もそうだが、普段写真を撮っている人間はフレームを動かしながら画面構成をすることがないので、固定されたフレームの中で何が起こるのかを見る。
それは具体的にフレームのインアウトであったり、予測されない事態を記録するというようなスタンスに出る。
この作品は撮り手が自らを主張するように、写すものと正対してカメラを突きつけるような撮り方はあまりしていない。
現場で事が起こることを待ち、それを記録させてもらう。
というような目の前で起こること、いる人、などに対して畏敬の念を抱いていると自分には伝わった。
その抑制された撮り方は扱っている題材と、音数の少なさ、田中泯さんの起用など全体を通して徹底されている。
礼文の寒く、重苦しい冬と、生と死、人間の傍若無人さ、自然、など言葉にしてしまうと陳腐になることが1時間に濃く流れていて、映像で見れるということの良さを久しぶりに感じた。
テレビを見ながらコーヒーを飲むシーンが何度か出てくるが、カップを口に運び、机の上にカップを置く。
置くやいなや、そのカップを少し手前に引くのではなく、遠方へと少し押す。
最初見て、ん、と思っていたら再度そのしぐさのシーンを使用していた。
日々の生活の中で習慣化されてしまい、本人ですらおそらく気が付かないような、その人であることの証明のようなその仕草に心奪われた。
それは写真では撮れない。

20240506
自分の作業部屋から左側を見ると暗いリビングに音の出てないテレビから映像が流れていることが確認出来る。
時折明るくなることでリビングが少し照らされて散らかり具合がわかる。
かみさんと娘はそれぞれ寝ている。
明日の予報を確認すると雨らしい。
何をするか決めきれず何度もYouTubeのサムネイルをリロードする。
メンタルというとなんというか少し距離感をもって扱えるような感覚の響きになるが、日々の生活のなかで上手くいくことや、上手くいかないことのバランスが崩れてくると想像外にどうしようもなくしんどくなるときがある。
冷静に自己分析して要因を特定しても仕方がなくて、そういうことではなく、上手くその波を乗りこなしたい。
大抵のことは毎日面白い写真が撮れれば解決する。
日々の鍛錬以外に解決などないのだということを井上尚弥が証明していた。

20240131
娘が学級閉鎖で休み。
学級閉鎖の理由は知らされない。
教育の現場でも自分たちの時代とは違って気を使う箇所が多くて大変だなと思う。
写真は日曜日。

20240111
急に思い立ってNIKON D3Sを引っ張り出してきた。
画素数は1200万程度だが必要十分で、未だに部屋の中で撮る分には一番綺麗に見える。
色の出方も好きだが、ノイズが少なく、基のデータが上品に感じる。
今日は比較的風が冷たかったが、それでも夜の帰宅の際でさえ、少し歩くと汗ばんだ。
ダウンのありがたみを感じることなく冬が掛けてゆく。

20240108
いつものようにお互いの実家を行き来する帰省を経て帰京。
皆で顔をあわせて新年の挨拶をすることの重みが変わる。
今日は遅い初詣と墓参り。

20231102
V字に隊列を組んで向かってくる鳥が遠くに見えた。
10羽はいないか。
あと30分もすれば陽は落ちきって帳が下りる。
11月なのに夏のように暑い日で雲は一つもない。
写真に撮るには恥ずかしいくらいに綺麗なマジックアワーで、手に持つカメラが顔まで上がらない。
よく精神年齢は高校で止まってる、とかネタみたいに言うが、実年齢に対しての自分の中身が伴わず、いつまでも社会における若年層みたいな実感で生きているが、年を重ねたそれなりの状況の変化が誰にも平等に押し寄せてくる。
当たり前のことだが。
変わらないでいて欲しいと願ってしまうのはいつまでも心が幼いせいだろうか。
変わっていってしまうということを否定出来ないくらいには年をとった。
何度大人になったっていいんだよ、と、丁寧に挿したイヤホンから歌が繰り返し言い聞かせてくれる。

20230111
年末年始は自分とかみさんの実家へと帰省した。
皆元気で変わりなく過ごしていることを確認して安心するのだが、反面いつまでも続くものでもないことを知ってしまっているので、いつも心がきゅっとなる。
もう随分長い時間をかけて心の準備をしているが慣れるものでもない。
願わくば少しでも長くこの状況が続いて欲しい。
会ったことのない祖父の年齢に並んだと知った。
自分の名前の直接的な由来である祖父は厳格だったらしい。
戦争で負った傷が致命傷となり、早くに他界したが、ずっと話は聞かされてきた。
今自分がその年になって、聞かされていた祖父のような大人になれたのかは考えるまでもない。
おそらくは自分に割合正直に生きていると思うが、いつまでも地に足がついているのか、そうでないのか、単純に年齢だけが積み上げられてしまった。
自分が出来たことよりも、とにかく何も出来ないことを加齢と共に知っていく。
無力感ではなく、その圧倒的に自分が何も知らない、出来ないということを受け入れていく、ということが今の自分にとっては何よりも切実な行為だなと思う。
当たり前だが写真は世界全てを撮りきるなんてことは出来ない。
いつだって、ひたすら選んで選択し続けることしか出来ない。
選択こそが写真だろうし、自分のしょっぱい美学にまみれながら向き合っていくしかない。
'DonQuixote' @cave.tokyo
12/2 - 1/29

20221208
外を歩いていても銀杏の匂いが消えた。
寒さも冬らしくなってきて、少し体がこわばる。
銀杏の落ち葉も吹き付けられた顔料のように散らばっている。
CAVEでの展示が始まった。
ただ写真を撮っている時期を過ぎ、その曖昧な塊から本や、展示といった形あるものにしていくという過程が今回は長かった。
撮る、という一人の作業から、他者を介在した協働へと変化する過程で嫌でも色々なことが整理される。
自分で無自覚だったことも、抽象的だった言葉も、それをそれとしてそのままにしておけない。
なるべくそんな手つかずな部分をそのまま残しておきたい、と思うのだが、そのことが難しい。
そんなのはものを作る人間の態度ではない、という突っ込みと、何もかも後付けで、ほんとはただそうなっただけじゃないか、という突っ込みが常に応酬しあう。
そもそも自分が好き勝手にやっていることを他者に協力してもらって、更に他者に見せるという行為はなんなんだろうな、と考える。
真摯に考え、やってるつもりだが、その真摯さは誰のために、どこに向かってるのか自分ではっきりわからない。
自分のためでしかないと思うが、言葉にすると、すぐさま違う感触へと滑ってしまう。
言語化出来ないから作っている。
とも、全て言語化出来ることをビジュアルにしている。
とも違う。
何かを断定してしまって、否定の上に成立させることは案外出来る気がする。
そうではなくて、否定ではなく、批評的に、それでいて、しっかり主張するということを自分はやりたいのだと思う。
青臭く、甘っちょろいのもわかっているが、これを青臭いで片付けてしまわないことが自分の仕事かもしれない。
【Event】
ギャラリートーク開催のお知らせ
伊丹豪個展『DonQuixote』関連イベントとして、2022年12月18日(日)に、写真家伊丹豪によるギャラリートークを開催いたします。
作品の見どころや本展制作プロセスについてアーティスト本人が語ります。またトーク終了後には新作写真集のプロトタイプもお手に取ってご覧いただけます。
ご予約は不要です。ぜひご参加ください。
■ギャラリートーク
日時: 2022年12月18日(日)19:00-20:00
会場: CAVE-AYUMIGALLERY @cave.tokyo
162-0805 東京都新宿区矢来町114 高橋ビルB2
ご予約不要・無料
■展覧会情報
伊丹豪『DonQuixote』
会期 : 2022年12月2(金)-2023年1月29日(日)
開廊時間 : 12:00 - 19:00
休廊日 : 水・木曜日
冬季休業 : 2022年12月28日(水)-2023年1月5日(木)
@dotarchitects.jp

2022119
何年かぶりに3人で銀座に行った。
歩行者天国は人で一杯で、インバウンドの増加を実感する。
何年かぶりに展示をさせてもらうので準備をしてるが、本当に諸々の値段が上がっている。
賑わう銀座で買い物してる人たちとは、また違う現実を自分は生きてるのだと思う。
自分でレーベル始めました。
まずは本作りました。
we are luckyfriends
@weareluckyfriends

20221011
平日にも関わらず休校だった娘を連れて。
t3photofestival @t3photofestivaltokyo もそろそろ会期の半分。
最近CDを買うことが増えた。
昔に購入してデータ化した音源のビットレートが低いのが気になってのことなのだが、そもそもなぜ売ってしまったのか。
今になると結構値段が高くなってしまっているものも少なくなく、メルカリやオークションをたまに覗いている。
サブスクにあればそれでもいいのだが、欲しいものは無いものも多い。
ハイレゾ音源も同じで、意外とこれがあるのか、という音源があったりするが、肝心な探しものはないことが多い。
リスナーの側にたてば、やはりサブスクはもうなくてはならないものになってしまった。
お金の流れに関する話はプレイヤー側の状況もわかるだけに単純化して話すことが出来ない。
綺麗事では生きていけないし、どうしてもお金が中心にあっての話しになってしまうから、口をつぐみがちになる。
とにかく自分たちが享受してきた、信じてきた価値観は一度疑ってみる。
という、生きるという実践。

20221011
平日にも関わらず休校だった娘を連れて。
t3photofestival @t3photofestivaltokyo もそろそろ会期の半分。
最近CDを買うことが増えた。
昔に購入してデータ化した音源のビットレートが低いのが気になってのことなのだが、そもそもなぜ売ってしまったのか。
今になると結構値段が高くなってしまっているものも少なくなく、メルカリやオークションをたまに覗いている。
サブスクにあればそれでもいいのだが、欲しいものは無いものも多い。
ハイレゾ音源も同じで、意外とこれがあるのか、という音源があったりするが、肝心な探しものはないことが多い。
リスナーの側にたてば、やはりサブスクはもうなくてはならないものになってしまった。
お金の流れに関する話はプレイヤー側の状況もわかるだけに単純化して話すことが出来ない。
綺麗事では生きていけないし、どうしてもお金が中心にあっての話しになってしまうから、口をつぐみがちになる。
とにかく自分たちが享受してきた、信じてきた価値観は一度疑ってみる。
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